hydraulic unit with PAN and SHOVEL HEAD

試作品油圧ユニット

油圧ユニットとは?

日本語では油圧ユニット、英語ではhydraulic unitなどと表記される事が多いこの部品は1953年から1985年までのハーレーパンヘッド中期からショベルヘッドすべてに使われていた部品です。

油圧ユニットは各プッシュロット下に1個ずつ配置されており、膨張し伸縮するエンジンに対して常に適正なプッシュロットの長さを自動で調整する機能を持ちます。

油圧ユニットを取り払いプッシュロットの調整機能を廃したソリットと比較すると、調子のいい油圧ユニットが組まれたエンジンは圧倒的な静粛性があります。
機構自体の歴史は古く、パンヘッド登場の1948年から構造は違いますが同様の考えを持った機能が備わっていました。それだけ当時はプッシュロット調整の必要性を排したかったのです。

なぜつくるのか?

と、このように重要な機能をもつ油圧ユニットですが、近年の社外品パーツの品質は決してよくありません。

アメリカやヨーロッパの大手部品ディストリビュータからは日本製と銘打った物(実際は違うっぽい)とアメリカ製のものが流通しています。

価格はアメリカ製のものが当然高く、日本製と銘打ったものはアメリカ製の1/2の価格といったところでしょうか?

このアメリカ製、古くはCrene Cams製として売っている事がおおいものでした。現在、Crene CamsはS&Sに吸収されS&S製として販売されていますが、当時から製造しているメーカーは変わりなく、10年前程までは品質に問題が無いものが多かったのです。

ところが近年この油圧ユニットは製造方法の変化か原因はわかりませんが、著しい性能低下が起こっています。

まともに組んでも油圧ユニットが油圧ユニットたる仕事をしなく、バイクショップが組み方の変更によりなんとか動く程度のものが非常に多くなりました。

もちろんこのユニットを組むにあたってリフター本体(油圧ユニットが刺さる場所)の経年劣化やオイル通路などや油圧の低下など諸問題が車両にないと言い切れないケースもあります。

ただ、壊れた油圧ユニットを交換しても元に戻らない事がものすごく多いのです。これらは純粋にこのユニットの品質低下に基づくものが多いのが昨今の現状です。

ソリッドでもいいや!

という人もいると思います。が、ケンチョッパーは油圧ユニットがもたらす静粛性は旧車たるパンやショベルには絶対必用なものと考えています。だってメカノイズがうるさいエンジンって乗ってて疲れるしね。

って事で現在このユニットを作成中です。

跳ね馬の技術はハーレーでも跳ねるか?

ただし、この油圧ユニット、調整したことが有る方はわかると思いますが、非常に精密な部品の上に小さいのが特徴です。作ると行っても簡単ではなく、ましてや図面もその製法や材質もわからないときています。
この古い部品を現在の技術で蘇らせることをリバースエンジニアリングと称し欧米では一般的な工程になりますが、日本ではまだ浸透していなく、なかなか協力指定くれるメーカーはありませんでした。

そんな時に手を上げてくれたのがイタリアにあるフェラーリの部品製造会社のXYZ S.r.l.です。
彼らはこの難しい話を真剣に聞き、製造に着手してくれました。

プロジェクトが始まったばかりなので、詳細はまだかけませんが現在油圧ユニットそのものを徹底的に解析(サイズや構造はもちろん、製法から強度、材質までかなりの強度で解析中)し、図面の作成を開始したところです。

目標とする性能は

今の社外品を圧倒的に凌駕し、純正と同じように組め、ちょっとしたハイカムならそのまま使用可能

となります。

詳細は追って加筆します。

フェラーリの技術が投入されるハーレー部品…考えただけでもワクワクします。またれ!続報!

——-2022/11/22加筆————

やっと試作品が完成し、日本に届きました。

当時の様子はブログに書いてあるので、そちらを参考にしてください。

最近の記事

  • 関連記事
  • おすすめ記事
  • 特集記事
PAGE TOP