4速ミッションの欠けを直してみる

先の長いミッションオーバーホール

エンジンでもミッションでもそうであるが、往々にして古いバイクの修理は時間がかかり大変である。多分この辺はみんながなんとなく理解しているであろう。

んじゃなんで大変なのか?一体なにがそんなに大変なのか?
本日はその面倒な修理の一部工程をショベルのミッションの修理を例にお見せしよう。

おい!またミッションかよ!たまにはエンジンでも見せろ!

と思う方もいるであろう。でもミッションである。エンジンはそのうちって事で。で、今回のネタは以前からたまに出てくるこいつである。

ショベルラチェットトップ

以前から度々使っている写真の上に全体が写っていないのがなんとも申し訳ないが、このミッションである。

このミッション、年式は1976年でショベルのベース車についていたものだ。

ベース車両ってことで、車両の状態はしれたもの。きれいな状態はもはや数十年前に通り過ぎ、いつ塗ったかわからない塗装は完全にやれて剥げて漏れ出したオイルがまとった汚れだか塗装だか全く判別ができないこいつを新品同様に仕立てて行くよ。

まずは分解して徹底的に汚れを落とし、その後軽く塗装を剥離。更にそこからブラストをかけて一皮剥く。んでこんな風になったらやっと、やっとこさ修理開始である。

きれいにしたミッションケース

写真は撮ってなかったんだけど、このミッションはキックカバーマウントがド派手に欠けていた。個人的には

端っこだし、よく欠けているし直すの大変だしこのまま行こうかなー

などと思ってオーナーに相談したんだが、いや、直せというお厳しいお言葉を頂いたので、

  1. 欠けて部分を溶接で盛り!
  2. 外側をそれっぽく形成!
  3. ガスケット面をフライスで削り!
  4. 更にマウント用の穴を開ける!

という書くとアレだけど、やるとめんどくさい作業を行うことになった。

削るの1割、マウント9割

ミッションケースをフライスに水平固定している

一言で削ると言っても、ガスケット面である。しかもキックカバーが付く場所なんで適当削るとオイルは漏れるわキックはうまくつかないわでそれ相応にフライスに固定しなければならん。

でも今回はガスケット面ってことで、治具は使わずケースだけで固定していくよ。

あそこ測ったりここ測ったりして水平に固定できたら削っていく。

フライスでガスケット面を削っている

ちなみに固定に30分、削るの…10分かかるかな?なんでもそうだがそんなもんである。

個人的にはフライスのこれが苦手ってか面倒であんまり好きじゃなかったりする。旋盤だったらXだのYだの無いからねー。まぁ仕方ない。

しっかりと削ったら次は穴開けてタップ立てる

ガスケット面にタップを立てたところ

はいこんな。途中の写真?取るの忘れてた…

で。フライスから外す前に仮にスタッドボルト立ててちゃんとキックカバーが組めるか確認するよ。もしだめならここから更に加工することになる(考えたくもねーが)し、外すとまたマウントするの面倒だしね。

キックカバーを仮にくっつけてみた

取り得ず無事にくっつくらしい。本当はもうちょいあれこれやるんだけど、とりあえずこれでよし。

無事にお立ち台から降りて頂けた。

ちなみに溶接して盛った見た目はこんなふうになる。

ミッションケースの修正面

今回は少面積って事で、イザラの復活まではやらんかった。まぁこれで充分だと思う。早々バレまい。

んで、ネジ穴ってネジ穴にタップを立てて目立てと汚れをとっていくよ。

ミッションのネジ穴にタップを立てているところ

(なんでラチェットトップってこんなにネジ多いんだよ…)

こんな感じね。ぶっちゃけこんなことしなくてもいいかもしれない。でもねー組むときにスルスルネジが入っていかないと精神衛生上よろしくないので今のうちにやっておく。しかも全部のネジ穴に。大変だけど後々にニヤニヤしながらミッションを組んでいくための前準備である。

これにて…

で、ここまでやってもケースがきれいになっただけである。
ここからやっとブッシュ突っ込んだり、ベアリングレース削ったりアレだこれだと皆様が思っているような修理が始まるのである。こんなことしてるから時間がかかるってのが何となくわかって頂けただろうか?

ってなことでここからやっと組んでいくので、待っているお客さんには…もうちょっと待ってね❤

終わり!

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