これはカスタムかレストアか?
今回はケンチョッパーにてしばらく制作していたFXカスタムの紹介。
事のきっかけはどこにでもあるようなスタートだった。
オーナーの要望は至極単純で、
かっこいいショベルFXがほしい
との事であった。ケンチョッパー代表の石村は、これもハーレーをオーダーされた時に比較的当たり前である、アメリカから車両を探すことになる。
ただし、この段階で石村の考えとしては往年の名車、Super Glideの姿が何となくではあるが、心の中に有ったという。
あくまでもカスタムが前提である以上、必要以上に部品が着いているしっかりした車両は必要ない。これもまたカスタムの前段階では定番である所謂ベースのFXを探す事になった。
しかし、届いたベース車両はかなり悲惨な状態だったという。ここから本格的なSuper Glideレプリカ作成となっていく。
予定していたタンクやフォーク、フェンダーなど主要部品はおよそ使える状態ではなく、予算との兼ね合いも有り否応なく社外品を多様する事となったが、石村はここで過去の経験を元にリーズナブルで且つ純正レプリカ作成としても過不足無い部品を選択し、また加工していく。
こうしてできたSuper Glideレプリカはオーナーも、そして石村も満足する仕上がりとなった。
当時は丸スイングアームと33.4のナローフォークにハンバーガードラムという組み合わせだったが、そこはレプリカであるので、年式相応の足回りを選択。
タンクはベース車の物が使えなかったため、新品の社外品をチョイス。
ショベルの3.5ガロンをそのまま再現したタンクは今まであまり販売されていなかったが、ここ最近はここまで純正の形に近づいた物が販売されている。
ここにエンブレムを両面テープの台座ではなく、当時と同じように上からねじ止めをするためにタンクを加工。違和感なくマウントさせる事が可能となった。
また、白いラインの内側は本来艶消しであるが、メンテナンス等を考えあえて艶がある塗装に。
シートも当時のものではなく、現在の日本の気候にあわせるためベースからの完全なワンオフ。
ただし、昔から使っていたような雰囲気を出すため、ステーなどに使う金具はベース車両から移植とした。
他にもあくまでも79年のショベルをSuper Glideに見立てるためにそれこそ数え切れない程の工夫が行われた。
このようにぱっと見ただけではわからないが、79年1340ccのショベルを72年Super Glideレプリカにするためには随所にカスタムで培ったノウハウが投入されている。
現在は無事車検も通ったが、エンジン、ミッション共フルオーバーホールということも有り、これも石村の拘りである約300km程度の慣らし運転のため、納車を待ってもらっている状態だが、そろそろ初期慣らしも終わり、オーナーと元へと旅立ってくだろう。
Super Glideの日本での生活はここからオーナーと共にアメリカで過ごしてきた時間より長くなることを切に祈りたい。
終わり!
文体変えると疲れるわー