ホーニングマシンって知っている?

真空パックされたスプリンガードラム

10ヶ月ほど前にオーダーしていたスプリンガー用のドラムブレーキがやっと届いたんだけど、これだよ…こんな重いもの真空パックしたって駄目だろ!ちなみに左上のなんだかもじゃもじゃしたビニールもこのまんま入っていた。正真正銘箱から出したまんまの姿である。

この駄目なビニールの除去に10分以上かかったのは言うまでもない。ちなみに外箱はっていうと

例によって満身創痍のボロボロ状態である。
最近のV-TWINの箱に貼ってある「WARNING!」のステッカーがなんと白々しい事か…気をつけるのはオメーの梱包だよV-TWIN

あんまり他のバイク屋では見ないホーニングマシン

って事で本題に入ろう。

ホーニングマシンってなに?

って人もが大半だたと思うが、まずはそのご尊顔をば

ホーニングマシン全景

こんなのね。

ケンチョッパーには様々な工作機械がある。旋盤から始まりフライスや溶接機、プレスやタイヤチェンジャーなど見方によってはなんかの工場?と思われる方もいるであろう。

このホーニングマシンもそんなやつの一台だが、場所をとりそこそこの存在感で鎮座しているくせに、できることはただ一点、

意地でも穴を完璧に真直ぐ仕上げること。

これだけである。

以前のブログのピニオンシャフトベアリング調整やミッションのメインドライブギヤブッシュ、ショベルやパンなどのロッカーアームなどハーレーってかエンジンには時に猛烈に真円を必要とする場所がたくさん存在する。

その上でオイルがちゃんと潤滑するべき溝(クロスハッチとか呼ばれるやつね)なんかも必要であり、耐久性とか色々考えるとこの真円とそして正確なクリアランスの確保はエンジンやミッションを組む際には必須になる。

普通ならちゃちゃっと0クリアランスで掘った後にホーナーなるこんなので↓仕上げることが多いだろうけど、

普通のフレックスホーン

これにも欠点があって、それは穴全体を凹んでいようが出っ張っていようが均一に掘ってしまうこと。

これだと極度に歪んでしまった穴をちゃんと真っ直ぐにすることは出来ないんだよね。

後、狙った数値も出しにくいし、真円を狙って掘っているといつのまにか穴が大きくなってしまったりとまーバリバリに数値だすぜ!って場合では非常に使いづらい。

って事でガチで真円を出したい場合、こいつは大活躍である。

例えばパンのロッカーアームホルダーは上下が合わせでしかも材質が違う。そして古いため相当歪んでいたりするんだけど、このホーニングマシンならばりっと真円が出る。

パンのろっかーアームホルダー

写真じゃ分かりづらいけど、こんな感じ。

段差もなくきっちりと仕上げることが可能だ。ミッションのメインドライブギヤブッシュ(ここの一番上の写真のヤツ)とかながーいブッシュには猛烈な威力を発揮し、ギリギリのクリアランス調整が可能となる。

使い方もそこまで複雑じゃなくて、

ホーニングマシン

こんな風に切削油を流し、ぐるぐる回る真ん中の…棒(マンドレルとか言うらしい)についている砥石をうまく調整して削っていく仕様となる。

これじゃないと真円が出せない場所があるぜ!

さて、ここまではこの機械じゃなくてもなんとか、面倒で時間はかかるが真円は出せる箇所だ。

ただ、ハーレーの中で唯一用務員がこれを使わなければまともに削れない箇所がある。それはコンロットの大端部ベアリングレースだ。

ベアリングレースって異常に硬いため、普通の工作機械で切削するのは非常に難しい。切るための歯が逃げちゃうんだよね。そのためにヤスリみたいなので削るのが普通の手段になる。

この方法をハーレーの場合(他ではなんて呼んでいるかわからん)ラッピングという呼び名の作業を行う。ラッピング作業はショベル以前のハーレービッグツインだと以下の3つに適応される。

  1. エンジンのクランクを保持するためのベアリング
  2. 77年以前のミッションメインドライブギヤベアリング
  3. コンロットのクランクピン(大端)部

の以上3つだ。
ただ、上のエンジンケースとミッションはラインラッピングという方法で手動で行う。このため細かい微調整なんかも可能で、熟練工であればかなりの精度で作業を完了させる事ができる。参考に以前のブログ見ていただきたい。

問題は3番のコンロット大端部のラッピングで、これだけは手動ではなくラッピングアーバーを旋盤にくっつけて回しながら削っていくんだけど、何度やってもどこがどう削れているのか全くわからないんだよね。

手動で、しかもラインラッピングだとどこがどうきつい(ゆるい)ってのがラッピングアーバーの引きずりの感覚でわかるんだけど、旋盤で回しているもんだからそんなの全くわからないし、部分的に削るとかそんなのも無理なんですよ。

そんな理由でぶっちゃけると用務員は結構昔に早々にコンロット大端部のラッピングは諦め、ベアリングレースの交換が必要ならさっさとコンロットごと交換していた。

でもねー、社外品は重たいし何よりも古いバイクの使える部品はやっぱり使っていきたい。なにせ品質がいいことが多いし、何よりも後世にこれらを残していく義務がある。ついでに予算的にも交換よりは優しいしね。

って事でこのホーニングマシンである。ぶっちゃけこれがないと用務員は純正のコンロットを使い続ける事ができない。これ無しではコンロッドベアリングの真円を出せないのである。

いや、旋盤とラッパーで真円だせるぞ!お前もがんばれ!

って方もたくさんいるだろう。確かに頑張ればできるのかもしれない。
だが用務員はホーニングマシンでの作業をおすすめする。こいつは上にも書いたが、でかいくせにそれだけの作業をするための専用機械であり、真円を確実にしかも素早く出すことだけに特化している。

汎用的な方法がとてもじゃないが追いつけるものでは無いと言っておこう。

終わりに

このホーニングマシン、今でも新品で手に入る。だが、一時期は国内で需要がなく製造を停止していたらしい。最後にホーニングでの仕上げが必要ないぐらいに部品加工精度があがったのか、はたまた日本ではこの手の仕事をすることがなくなってきたのか真相は知らないが、もし後者の理由で製造していなかったのなら非常に悲しい事である。

ただ、我々古い機械を直すものにとってはこの手の機械がいまだ国産品が入手可能ってのは非常に好ましいことだろう。できれば末永く販売して欲しいもんだ。

以上、終わり!

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