皆様はS&Sのツースロートキャブをご存知だろうか?
このツースロート、いつの時代から始まったものは定かではないが、現在はS&SからEキャブやG、他にLキャブなんかとの共通部品以外は全く供給されておらず、日本や世界各地のショップで細々とオリジナル部品として供給されているのみである。
その最大の特徴としては名前の通り通常のハーレーのキャブとは異なり、ベンチュリーが2つありそれぞれが未改造であれば独立して前後気筒に混合気を送る仕組みだろう。
こんな構造をもったハーレー用のキャブはこのツースロートと、いっとき純正で出ていたホーリー?だかウェーバーといったところか。
で、こんな割と貴重なキャブなんだけど、ケンチョッパーではなぜか3台も装着している車両がある。そんな車両の1台に付き合って超久しぶりに、おそらく20年ぶりぐらいのこのレアキャブと接する事ができたので、自称キャブフェチであるケンチョッパー用務員がこいつを触った感想を書いていってみたいと思う。
ここがいいよ!S&Sツースロート!
やっぱりってか当然っていう話なんだけど、小口径キャブならではの低速でのツキの良さでしょう。特にアクセル開度1/3以下ではなんてんかかなりクイックな特性をみせ、トルクもモリモリ出てくる。
これはEキャブのような大口径キャブには見られない特徴で、正直アクセルをガバガバ開ける気が起きない。この低速での気持ちよさはツースロートの最大の特徴ではなかろうか?
この見た目の派手さに違う低速での気持ちよさとそのギャップは乗ってみないとわからない非常に大きな魅力だろう。
んじゃ次は悪いところを書いていってみよう。
持ち上げておいてなんだが実はあくまでも個人的にだが沢山あったりする…
ここがイマイチだよ!ツースロート!
まずはでかいし重い…
いや、でかくても重くてもどーせバイクにつけておくんだからいいだろ?
と、思う方もいるだろう。でもね、でかけりゃそれだけ出っ張って邪魔だしステーとかもそれなりの強度が必要になる。何よりも箸より重いものを持ったことがない中年バリバリの用務員にとっては取り付ける時とかにどっこいしょ!となる(いや、そんなに重くないけどさ)んですわ。
まぁここは構造を考えれば仕方ないところだろう。
で、次にアイドルミクスチャーがなぜか一個調整。
一体何を言っているかわからないかもしれないが、皆様が今使っているキャブには必ずアクセルが全閉になっている時にガソリンが流れる通路がある。
これは原則的に一個のキャブに1つついている形になる。ツースロートは実質的に2個のキャブとみなしていいんだけど、このミクスチャーが1つしか無い形になっている。
これ、途中までは完全に独立した通路を持っているくせに、いざインマニとつながるぜ!ってところで何故か合体して一つとなり、インマニへと導かれる仕組みとなっている。
いや、いいんだよ?一つしかなければ調整も楽だしさ、でも構造上せっかく通路をもっているんだから2つに分けましょうよって感じである。
ちなみにこの構造による目立った弊害は感じないからまぁなおさらいいんだけどね。
次に加速ポンプの調整機能がない
これは大問題。加速ポンプの構造自体も結構ざっくりしていて、相当早くスロットルを動かさないとポッンプが作動しない仕組みとなっている。
確かに小口径なんで、そこまでポンプによる恩恵は無いのかもしれない。だが後述する加工やカスタムをするとこの加速ポンプに頼らざる得ないためこれも問題となってくる。
で、最大の問題は…
ベンチュリーの口径が小さい!
となる。
え?お前さっきのメリットで小口径って書いてたやんけ!
と思われる方もいるだろう。用務員もさっき書いておいて今度はそれをデメリットに書くのは如何に節操が無いとはいえ多少、ほんの多少、足の小指の爪の垢程度には思う。
でもねー、1/2とか全開付近では明らかに空気が足りない感があるんですわ。じゃあどうすんだっていうと独立しているインマニに穴を開けて前後のキャブをつなげてみたりするんだよね。
もしくはEキャブのインマニを使ってそこにツースロート用のアダプターを装着、完全にくっつくける方法なんかもある。
こうすれば口径の小ささからくる大きなアクセル開度でもいい感じに走るようになる。
でもそれは小口径の良さを殺す事にもつながるので、ツースロートを使う上での最大の矛盾となってあなたの心を襲うことだろう。
他にもフロート周りに不満点があったり何よりS&S自体から肝心のスローと中速関係のセッティング部品の供給をストップさせているなど不満点は多いけど、、総合的にみれば結構好きなキャブになるかな。
ってことで、もうちょい煮詰めてしっかり走って見たいと思う。
ツースロート付けてみたいぜ!
と思っている方にちょっとでも参考になれば幸いである。
そして結局バラしたのでついでに第二弾を書いてみた
ってことで、終わり!